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4.アジャスト能力を加速するヒント

教科書の内容を覚えるように、貪欲に知識を身に着けたとしても、トライアードスキルは、身につかない。知識は、基本であり絶対条件だが、充分条件ではないのだ。身に付けた知識をベースにして活かし、トライアードスキルを効果的に向上させ、アジャスト能力を加速するための5つのヒントを示しておく。


(a)周辺を描く


一言で知識といっても、様々なレベルがある。バス釣りの知識をつけようとすれば、まずバスそのものについて学ぶ。そして、バス釣りの道具や方法について学ぶ。しかし、本当に重要なことは、その周辺の知識を学ぶかどうかだ。「親指を描くには、その周辺を描け」といった芸術家がいた。つまり、周辺を描けば描くほど、そのものが際立ってきて本質が見えてくる。


そのものに係っている周辺とは、バスを取り巻く環境。ベイトフィッシュや自然環境について、学べば、なぜバスがそう行動するのかの本質が見えてくる。その本質を捉えた知識と表面の知識の差。それは、1°のズレが、その先に行くにつれて、大きく広がっていくようなものだ。


(b)RASシステムを活用する


「人は、見ようと意識しなければ、見ることができない」。自分の周りには、常に情報が溢れている。だから、見ようとしなければ見過ごすものが多い。人間の脳には、成功とサバイバルに必要な情報以外を消してしまうという作用がある。つまり、不要な情報はいらないと判断して受け取らない。逆に、必要な情報は貪欲なまでに吸収しようとするということだ。


これは、哲学でも思想や考え方でもない。人間が持つ性質であり、ひとつの法則だ。だから、この法則を疑ってはいけない。誰であろうと、善人だろうが悪人だろうが、ビルから飛び降りれば同じように地面に叩きつけられる。この重力の法則を疑うものはいないだろう。それくらい当たり前のことだ。明確な目標をイメージできると、脳のRASシステムが作用して、目標をできるだけ早く達成するための情報を磁石のように引き寄せる。


RASシステムとは、レティキュラー・アクティベイティング・システムといい、神経組織を刺激して活発にするシステムのことだ。つまり、RASシステムが作用すれば、今まで見過ごしていた情報が見え、その対応として必要な手段が自然と現れてくるということだ。この磁石の力を使えば、自然と今までと状況が変わってくる。


目標を明確にすることで、見えるものが変わってくることを、体感することができる実験方法がある。今から10秒間、自分がいる部屋を見回して赤いモノを探してみてほしい。・・・・見つけることが出来ただろうか?それでは、次の質問に答えてほしい。


「今あなたがいる部屋にある青いモノを3つ答えよ」


目標を明確にして、意識して見ようとしなければ、見えてこないものが確実にあるということだ。知識や情報の効能は、それ自体が大きな成果をもたらすことだけではない。プロとアマチュアの違いを一言で表すならば、「プロは、より細かい区別をすることができる」ということだろう。たとえば、プロの陶芸家は、土の種類を何十種類も区別できる。素人には、同じに見える土を細かく区別して使い分けることによって、プロとしての「結果」を導き出している。


RASシステムを充分に活用して、より細かい区別を行うための視点を養うことによって、「今まで見えなかったこと」が見え、自分の経験に出来る。「気付き」があって、「見方」が変わる。それは、新しい局面を知ることになり、そして新しい区別によって、選択の質が上がる。「見方の変化」は、どんなテクニックやリグを真似ることより、格段に上達のスピードを上げてくれる特効薬だ。


(c)空間認識能力と抽象化


インターネットで欲しい情報は、すぐに手にすることができる情報化社会の現代では、行動範囲も無限に広がり、時間の使い方も変わった。それに合わせて、情報の質と量も変化してきた。しかし、私たちの人生は、都度、必要なすべての情報を把握して、結論を導き出すには短すぎる。もはや情報を、その情報そのものの価値として捉えることでは、成り立たない状態なのだ。


そこで、必要となることは、「空間認識」という概念だ。あらゆる情報を、物理的空間、時間的空間、情報的関連性といった空間で捉えて認識する。情報を、ある点で捉えるのではなく、時間的、物理的な連続性の中にあるものとして捉える。つまり、ある情報には、その前後が必ずあり、そこに到るまでの経緯が必ず存在する。こうした空間認識に立って、はじめて情報を先の判断に活かすことができる。


空間認識は、人間の特筆するべき能力のひとつであるといえる。その空間認識の中核をなす能力が、“抽象化することができる”という能力だ。人間は、シャム猫も三毛猫も、同じ猫だと認識できる。AIに、それを教えるために、4本足の動物と教えると、犬と猫の区別はできない。人間は、猫という生き物を抽象化し、同じ種類のものを自然と猫だと認識することができる。


この抽象化を情報処理に活用すればいい。抽象化のコツは、コンピューターに教えるように情報を処理してしまわないことだ。つまり、漠然と把握しておく。まさに、空間に浮く浮遊物のように情報を捉えておく。その空間認識によって抽象化された情報は、全く別の情報に直面したとき、ある側面における関連性を見抜くきっかけとなる。“水鳥の動きを見て、ベイトフィッシュの動きが読めた”、“山の形から、地形の変化が読み取れた”。そういった一見関連性がない情報から、ヒントを得ることができるのも、抽象化のなせるワザだ。


(d)情報の読み方に基準を持つ


現代の社会では情報は、氾濫している。そして、多くの情報は発信者の意図を反映して発信される。それ故、すべての情報を取り込んでしまえば、必ずどこかで矛盾を生じてくる。情報には、取捨選択が必要だ。その基準は、極めて単純だ。その情報が、自分のどのトライアードスキルを補足する情報なのか。自分のスキルは、今、その情報を、必要としているかどうか。それだけを自問自答するだけでいい。


どのスキルも補足しないような情報は、余計な情報だ。そうした情報は、最初から、取り込まないなど、受け流すことが賢明だ。いつか役に立つとか、何かの役に立つと感じるかもしれないが、その“いつか”や“何か”が訪れることはない。そういった情報は、自分にとっては、栄養にならないばかりか、毒する情報である可能性もあるのだ。


情報が氾濫する情報化社会である昨今、自分に必要な情報は何かということに目を奪われがちだが、“何が必要か”ではなく、“何が不要か”ということに目を向ける必要がある。


(e)仮説と検証


アジャストするということは、その背景で仮説と検証を繰り返した結果だ。シチュエーションリーディングによって仮説をたて、メソッドセレクトとアプローチによって実践、検証する。その仮説検証のサイクルを小さく早く回していくこと。それが、アジャストすることに繋がる。仮説検証とは、次のような手順を踏む。


①状況の観察と分析
まずは、よく観察する。そして、その目的をしっかり抑え、背景や条件などを分析し、どう変化していくかを分析する。


②仮説の設定
観察と分析結果を踏まえて、ある仮の答えを設定する。これらが、いわゆる仮説ということになる。


③仮説の検証
設定した仮説が正しいかどうかを検証する。仮説設定時以上の情報リサーチを行い検証、修正する。


このプロセスのサイクルが、より早く、より精度が高ければ、欲しい結果に、早くたどり着くことができる。トライアードスキルは、まさに、このサイクルを、より早く、より精度高く行うためのスキルだといえる。