バスロッド選びに終止符
一定の経験値を積み重ね、自分のスタイルを確立しつつあるアングラーには、ネームバリューや信仰に頼る道具選びに終止符を打ちたい時が来る。そんな時に手にすることができるバスロッドであること。
一貫した国内生産、メイド・イン・ジャパンには価値はある。しかし、本当に価値があるのはそこではない。60年余りにおよびロッド業界の礎を築いてきた製竿技術にこそ価値がある。
もはやバス釣りは斜陽産業だと囁かれ続けてきた。こんな時代だからこそ、あえて再び求められるべきモノ。
伝説のバスロッドと呼ばれた名竿「ENDSVILLE」
その一時代を築いたロッドメーカー“ダイコー”が揃えるバスロッドの旗艦ブランド「エンズヴィル」。当時からバスフィッシングや道具に対して一家言あるアングラーであれば、その存在を改めて説明する必要はないかもしれない。
釣り事業から撤退し、10年近く経過した今でも、その愛用者は多く存在する。その熱狂的なファンの1人が“ENDSVILLE(エンズヴィル)”という名竿を、“もっと使い続けたい。これからも残していくべき”という思いに駆られ、自ら復刻に向けて行動。“自分にやらせて欲しい”と電話で依頼し、復刻実現の条件が整うまでの期間は約6年”。“どうしても復刻させたい”という想いが実を結び、商標を得るとともに当時を知る製造部門による協力を得ることに。
当時から製造に携わっていたブランク設計士と連携を取ることもでき、大分県の工場からメイドインジャパンクオリティーで再び…。“ENDSVILLE(エンズヴィル)”は名竿の名称でありブランド名として、再び世に姿を現す。
バス釣りに未来はあるか
ブラックバス(オオクチバス)が特定外来生物の指定を受けて以来、バス釣り業界は縮小の一途をたどることとなったが、それはバス釣り業界の衰退の一因に過ぎない。元々、バスは湖の食物連鎖の中で上位に位置し、自然淘汰によってその数を減らしてきた。バスが流入し長い年月が経過した、いわゆるメジャーレイクでは、その”生態系の安定”により、バスの絶対数が減り、”エサに困らない”状態となることで、”釣れない”状況が広がる。
この状況を悲観するのではなく、前向きにとらえるならば、「何でも投げれば釣れた」状態から、「きちんと考えなければ釣れない」状態、つまり”本来のバスフィッシングの在り方”が求められる状態になったといえる。
市民権を得ることない”バス釣り”という遊びに対して、今も真摯に向き合い、突き詰めていく姿勢を持つアングラーであれば、その過程の末に得る一匹の大きさを知っているだろう。その貴重な一匹を如何に確実に、そして満喫できるか。それはバスアングラーにとっては、決して譲ることができないところだ。バス釣りの未来は、”本来のバスフィッシングの在り方”の追求にある。
シン・コストパフォーマンス
バス産業が衰退する中で、メーカー側もチカラの入れ具合を変化させるのは当然のこと。それは、道具作りにかける労力やコストに跳ね返ってくる。作りたくても作れない状況というのが正直なところだといえるだろう。
エンズヴィルは、そうした状況に転換する間際に誕生した、”最後の砦”だと表現しても過言ではない。”バスロッドとしてのあるべき姿”の頂点に触れたロッド。その後の方向性を示した、まさにフラッグシップ的存在。最高の素材と製造工程、徹底した品質管理により生み出されるジャパン・クオリティは、今のこの時代では実現しがたいコストパフォーマンスを発揮している。
バスロッドの系譜
一世を風靡したバス釣りブームでは豪華さが際立ち、軽量・高感度を競いあっていた頃から、ブランクスに向き合ってきたエンジニア達は当時を振り返りこう表現した。
“求められる軽量高感度を実現するにはカーボンを薄くしていく必要があった。それは強度との鬩ぎあいであり、折れるか折れないかのギリギリを攻める戦いだった”。
流行やトレンドは無視できない。しかし、本来のロッドの在り方としてどうあるべきか?魚とのやりとりで強く曲がる、剛性と弾性のバランス。”バスを釣る”ための本質を見極め、的確なパフォーマンスを示すこと。バスロッドの本流を追求する挑戦へと挑んだ結果、誕生したのがD-BLANKだった。
エンズヴィルの核、“D-BLANK”
“真にラインの引張に対し素直に曲がる柔軟性を備えているのか?”、“軋むほどロッドを締め込むターゲットとの対峙で、本当に無理の効く強さを備えているか?”
素材はモチロン、それ以上にロッド性能として大きく表れる設計。メイン素材には国内最高峰のグラファイト/グラスファイバーマテリアルが使用され、それを低弾性~超高弾性まで幅広い弾性率の素材を厳選。モデルの用途やコンセプトに応じてセッティングを施し、トータルバランスに優れた強くて軽いブランク。それが、D-BLANK。
正統派スタンダードバスロッド
半世紀に渡りブランク製作を続けてきた経験から生み出される熟練の枠、当時のブランクを再現し、「投げる、掛ける、寄せる、浮かせる」というバスフィッシングの基本を徹底追求。
フィールドで“本当に使えるロッド”を追求し続け、10年先も愛用できる先を見据える形で堅牢性や機能性を備え、それを手にしたアングラー自身の色に染まってくれる。道具に使われるのではなく、まさに”信仰を置き去りにし”、アングラーの右腕となるロッドであるといえる。
スピニングモデルも流石の完成度
“流行や信仰に捉われず最良を目指し”マイスタイルを追求したエンズヴィル。現在までにベイトキャスティングモデルとして、EC71M、EC69M、EC71ML、EC71MHの4機種を展開している。
そして、エンズヴィルに触れたアングラーから切望されたスピニングモデルがついに登場。フィネス攻めに特化した対極するスピニングモデルとして、“ES66L”と“ES66ML”の2機種。
ES66L
~究極の弾性差を活かした異弾性コンポジットの極み~
“ES66L”は、比較的に汎用性が高く設計されているエンズヴィルの中でも、特殊な作りでフィネス攻めを追求したバランスに仕上げられているモデルで、ライトリグの食わせに特化した専用モデル。
ティップセクションに独特なテーパーを持ち、手元のアクションでティップだけを揺らす繊細な動作で、場所を変えずルアーだけにアクションを加えるという究極な技が可能であることに加え、わずかなバイトもオートマチックにフッキングに持ち込むことが可能。
ロッドの振り幅とラインスラックを上手く利用してルアーをコントロール、それから魚にリグをシッカリと咥えこませることのできる高い追従性を備えたティップセクションも大きな魅力。
チューブラーブランクながらソリッドティップを超えるようなティップセクションの追従性を追求、シェイキング時の過度な胴ブレを徹底排除しライトリグを繊細に操ることを可能にする。
ショートストロークでフッキングを決める為の、急激に立ち上がるベリー~バットセクションが特長の“ES66L”。超マニュアルとも呼べる仕様でカナリの上級者向け、競技志向なエキスパートモデルであるためキャスト&ファイトは習熟や慣れが必要。
クセのある設計
正直、クセのある設計。キャスト時や取り込みの際に少しコツや慣れが求められるが、それを習熟し扱えるようになれば、普段の繊細なルアーアクション、キャストをワンランク上げることが可能なモデル。普段のフィネス攻めをワンランク上げたいアングラー向けの究極のセッティングであるといえる。
D-BLANKの強度と粘りを活かしつつ、繊細なティップセクションの両立を最良のバランスでセッティング。クセの強いアクションと強度の両立を図りながら軽量化も実現している仕様。ライトパワーでありながらも、独自の“D-BLANK”のリフティングパワーは、ビッグバスを効率良く獲れるハイパワーの証。
ES66ML
~仕掛けるバーサタイル~
ES66Lの特殊なセッティングに対して、ES66MLは、その名の通り“バーサタイル”。スピニングタックルを使用するシチュエーションにおいて、求められる性能を高次元で実現。
特に試したいのが、ジグヘッドによるスイミング。1/16ozのジグヘッドリグをメインユースに想定し、“仕掛ける”ことのできる操作性をシッカリ確保。縦捌きアクションからバイト~フッキングまでの操作性がズバ抜けており「ES66ML」の魅力を最も感じやすいメソッドがジグヘッドリグ。掛けて獲る楽しさを存分に味わうことができる。
他にもサスペンドシャッドなどの小型プラグの釣りでも、ミディアムライトの追従性によってバイトを弾かずシッカリ捉えることも可能。アングラーの力量を問わない、最も“使える”1本に完成している。
琵琶湖に代表されるグラスフラットはモチロン、パワーフィネスと呼ばれる、PEセッティングのカバー攻めにも十分対応するロッドパワーを備えており、”D-BLANK”のリフティングパワーにより、60cmクラスであっても主導権を与えずキャッチまで導くことができる。
ブランク全体的に適度な張りを秘めつつ、クセのないファストアクション。エンズヴィルブランクならではの絶妙なハリと柔軟性はフッキングからキャッチまで主導権を与えない。ES66Lの対極をなす”バーサタイル”を、アングラー自ら”仕掛ける”ことができるモデル。ES66Lと共に、フィネスアプローチの底上げを可能にする。
半世紀余にかけて蓄積された、“最良の製竿工程”
確かな品質を築く絶対条件であり、一振りのロッドが作り上げられるまでのその工程は、“D-BLANK”を含む様々な箇所に関して、見た目のデザイン以上に機能や品質に深く関係する手間のかかる作業の積み重ね。
その工程を考えれば、エンズヴィルは、“真のコストパフォーマンス”を生み出しているといえる。コンセプトに基づき、多岐にわたる品質テストをクリアしなければ、世に送り出せない。当時、当たり前のことが当たり前になされてきたD-BLANK。
半世紀余にかけて技術と経験の蓄積、信頼と実績を保ち続けてきた“最良の製竿工程”。それこそがエンズヴィルという長年愛され続ける最高品質のバスロッドを生み出すことに繋がっている。
他のどのロッドとも異なるその質感
バスロッドのあるべき姿を追求し続けた真のロッドメイキングの結晶。ブランクを知り尽くしているからこそ実現できるハイパフォーマンス。使い手のワガママに応える自由度の高さ、長年親しまれてきた、使うほど馴染む“D-BLANK”の個性と魅力は一度触れば理解できるハズ。
バスロッドのあるべき頂点に触れたと言っても過言ではない逸品を、眠らせておくわけにはいかない。”最良の製竿工程”をそのままに、当時の名番手を復刻。エンズヴィルは、アングラーが誇りと自信を持ってフィールドに持ち込める最高品質のバスロッドだといえる。
ユーザーインタビュー
Q: 実物を手に取ってみた感想は?
A: ベイト、スピニング両モデルに共通して言えることは、レングスを感じさせない取り回しの軽快さが魅力。それとグリップ周りの質感も合わさることで、使い始めた瞬間から“使い慣れたロッドのように持ってすぐに馴染む”感覚を感じた。
各モデルに合わせられたテーパーデザインで、それぞれが専用機のような操作感を実現しながら、適度なハリと柔軟性が両立していることでどのモデルも汎用性に優れている(ES66Lは除く)。
Q: ES66Lについて
A: 特殊なテーパーデザインで“クセのある超マニュアル仕様”だが、実は昨今のハイプレッシャーフィールドのサイトフィッシングに多用されるようなコンパクトキャストが異常に決まりやりやすい。ティップのみを使うことで、ロッド全体をしならせるよりも再現性の高いピンポイントキャストが決まりやすく、キャストが上手くなったと感じさせるレベル。
障害物を1つずつ舐めるようにトレースすることができ、任意の場所でスタックからのハングオフといったアプローチまでも実現可能。特殊なテーパーデザインの副産物として、目感度にも優れ、手元で判別し難いバイトをティップで感じ取ることができる。
実釣レポート①
~灼熱の青野ダム~
エンズヴィルを復刻するほど心酔した理由。それは、唯一無二といっても過言ではないブランク(D–BLANK)が持つ強く、そして曲がるロッドとしての基本性能に優れているところ。復刻を実現した開発スタッフとして、それを伝えたいが故の釣行も青野ダムの洗礼を浴び、いよいよアウトドアハウスアオノさんのサポートを受け、”灼熱”の青野ダムに出陣。
■グッドサイズを狙うためレンジは・・
ダブル高気圧の影響で日本各地で今年最高気温を記録する中、青野ダムの水温は30℃を超え、まさに真夏の様相。日陰のあるシャローカバー付近は、比較的イージーに小バスと戯れることができる状況ではあったものの、エンズヴィルのブランクパフォーマンスを伝えるためには、最低でも45cmアップをターゲットに設定。狙うレンジは3mより以深のストラクチャー、地形の変化を丁寧に狙っていくことに。
■エンズヴィルの超絶コンビネーション
ボートスロープを出て対岸から徐々に釣りあがっていく。ベイトフィッシュのレンジを確認しながら、EC71MH+テキサスリグ、EC71MH+ラバージグの王道の組み合わせローテーション。フォローベイトにES66L+ドロップショット、ES66ML+ネコリグを入れながらチェック。しかし、いずれも反応がないまま中流域に。
■エンズヴィルを曲げるサカナ
夏の狙いどころとなるのは、やはり水通し。メインチャネル沿いのボディーウォーターが絡む変化を中心に探っていく。しかし、出航して3時間以上アタリがないまま経過し青野ダムらしさを感じながらも、ボトム変化を十分に感じながらキャストを繰り返していると、それは突然訪れた。
クンッという岩に引っかかったような違和感。一度ロッドで訊いてみると生命感が伝わってくる。一気にリールを巻き上げるもフッキングはバシッと決まらないままサカナは潜りロッドを曲げる。ここで無理にフッキングを決め直そうとロッドを戻してしまってはいけない。その拍子にフックアウトしてしまう可能性がある。ラインテンションを張ったまま持ちこたえる。サカナが浮いてくるタイミングでリールを巻き上げ、また潜らせていく。しっかりと曲がってサカナが水面で暴れることはないまま、水面に浮きあがってきたときには、エラ洗いすることなくネットに収めることができた。
■「投げる、掛ける、寄せる、浮かせる」のなせる業
グッドコンディションの47cm。エンズヴィルのD-BLANKを体感するには十分のコンディションだった。青野ダムは決してイージーなフィールドではないが、セオリーや状況をうまく判断して挑めば楽しめるフィールド。まぐれを期待せず、如何に戦略的に考え、適切な戦術でアプローチするかがキモ。”釣った”ときの満足度はアングラー冥利につきるフィールドだといえる。貴重なバイトを逃さない。エンズヴィルの「投げる、掛ける、寄せる、浮かせる」のなせる業を改めて実感できた一匹だった。
実釣レポート②
~ラバージグで50cm@青野ダム~
暑かった夏も過ぎ、朝晩は肌寒さを感じ始めた10月某日。久しぶりのフィールドへと繰り出した。水温は朝の時点で19℃。前日の雨の影響もあり、水質は決して良いとは云えない。台風などのまとまった雨が降ってきたこともあり、夏の減水が嘘のように満水レベルにまで増水している。
やはりこの季節。秋といえばベイトパターン。基本的には岬やフラットなどの変化をクランクベイトやスピナーベイトで探り、ラバージグでフォローを入れていくパターンを考える。
■定番エリアをセオリーどおりにチェック
スロープを出たあたりから目ぼしい岬やフラットを、クランクベイトで流していく。ベイトフィッシュは3m~4mくらいに映る。ファットペッパーとマッドペッパーを軸として、DT10やDT16を入れながら探っていく。
中流域を抜けて上流域に入っていく。上流域には、2本の支流からのチャンネルがあり、そのインターセクション部には冠水したカバーもある。一応、ノーシンカーを滑り込ませチェックしてみるが反応がない。
メインチャンネルからの地形変化にはベイトフィッシュも映ることなく期待は薄い。上流域は早々に見切って中流部に下っていく。中流域を下ったあたりからベイトフィッシュがしっかりと映ってくる。やはり、中流域より下がねらい目だろう。
■ベイトのタナと風を読む
ベイトフィッシュのタナは3m~4m。その下の5mレンジの変化を探っていくことにする。午前中に雲が晴れたあたりから風が吹き続けていることから、スピナーベイトを地形変化に絡めて見るなど、8m~5mまでのブレイクを軸としてアプローチするが反応はない。
午後を過ぎたあたりで風がやむ。こうした変化は、手を変えるタイミングでもある。3/8ozラバージグにスイッチして、ブレイク周りを攻める。ブレイクを落としている感覚がある状態で、フッとアタリが出るがのらない。バスがジグを吸い込めるほど、大きなかったのか、それともそれなりのサイズが吸って吐いたのか。
どちらにしても、これまでの無反応に対して、サカナの反応があったことは大きい。しばらくこの戦術で探ってみることにする。ブレイクを浅い側から深い側にボトムバンプしていくと、グッと重くなる。合わせてみるとグイッと重さが乗る。根掛かりか?と疑ってみて巻き始めてみると生命感が伝わってくる。
■貴重なバイトを逃さない
その引きは、決して小さくない引き。ロッドを曲げたままの状態でバスの姿は見えないが、その引きの強さは伝わってくる。浮き上がってきたバスをネットにしっかりと収めると、それは50cmジャストのバス。
ワカサギレイクでは、バスは比較的ストラクチャーに付きにくい。ましてメジャーフィールドで50クラスを狙うとなると猶更だ。好奇心でバイトする小バスとは異なり、バスがフィーディングモードでバイトするタイミングを合わせていくことがカギとなる。それにはフィールドの状態と変化を常に意識することが重要であることを示してくれた一匹だった。
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