ジャークベイトのロッドというと、ティップが柔らかく、ショートレングスで、トゥイッチを入れやすいものが良いとされることが多い。もちろんそれも一つの正解だが、実際の釣りをよく観察していくと、ジャークベイトというルアーが本当に要求しているものは、もう少し別のところにあるように思える。
EC71Mは低中弾性カーボンを主体に組み立てたロッドだ。最近は高弾性カーボンを使った、いわゆる反発力の強いロッドが主流になっているが、ジャークベイトにおいてはその性質が必ずしも有利に働くとは限らない。高弾性カーボンは入力に対して鋭く反応する。だからこそ操作感は明確になる。しかしその一方で、ルアーの動きは時として過敏になり、ラインスラックは不安定になり、魚が触れた瞬間のテンションも乱れやすい。
低中弾性カーボンには、入力を受け止めてから伝えるという性質がある。言い換えるなら、衝撃を一度ロッドの中で整えてからルアーへ送るような動き方をする。ジャークベイトは、ルアーを暴れさせる釣りのようでいて、実際には姿勢を保たせる釣りでもある。強すぎる反発はルアーを跳ねさせるが、低中弾性のしなやかな復元は、スライド幅を揃え、姿勢を整えたまま移動させる。その結果、ルアーは必要以上に騒がず、しかし確実に存在感を出す。
EC71Mが優れているのは、この“整える力”だ。低中弾性カーボンは単に柔らかい素材ではない。曲がり方を設計すれば、曲がる過程の中に明確な張りを残すことができる。ジャークを入れたとき、ティップだけが吸収してしまうロッドではルアーは思ったほど動かない。逆に張りすぎたロッドでは、ルアーは鋭く跳ねてしまう。その中間にある、入力が逃げず、しかし暴れない領域を作ることができるのが低中弾性カーボンの面白いところだ。
そしてもう一つ、この素材がジャークベイトにも向いている理由がある。止めた瞬間のラインテンションだ。サスペンドミノーの釣りは、ジャークしている瞬間よりも、むしろ止めている時間に何が起きているかが重要になる。魚はその静止の中で触れることが多い。高弾性ロッドは復元が速く、ラインが張ったり緩んだりする変化も急激になる。それに対して低中弾性カーボンは、張りを残したままゆっくりと戻る。このわずかな粘りが、ポーズ中のラインを生かしたままにしてくれる。
バイトが出たとき、その差はさらに大きくなる。ジャークベイトはトレブルフックの釣りだ。掛けることよりも、外さないことの方が難しい。魚は掛かったあとに首を振り、水面に出て、何度もテンションを揺さぶる。低中弾性カーボンは、その揺れを受け止めながら曲がり続ける。反発ではなく追従でテンションを維持するので、フックポイントは暴れにくく、結果としてバラシは減る。
低中弾性カーボンは、扱いが難しい素材でもある。単純に使うと重くなりやすく、ぼやけたロッドにもなりやすい。だからこそ、どこで曲げ、どこで支え、どこに張りを残すのかを細かく設計する必要がある。素材の特性を理解していないと、ただ柔らかいだけのロッドになってしまう。しかし逆に言えば、その特性を理解していれば、反発だけでは作れない動きをロッドに与えることができる。
EC71Mは、操作を鋭くするためではなく、ルアーの姿勢を整え、ラインを生かし、掛けた魚を逃がさないための曲がりを持っている。ジャークベイトの釣りは激しい操作の釣りに見えるが、実際には水中のわずかなバランスを扱う釣りでもある。そのバランスを崩さずに保つという意味では、低中弾性カーボンという素材は、今でも非常に合理的な選択なのだ。










